突然ですが、ニューヨーク在住のノー・インパクト・マン(No Impact Man)ことコリン・ビーバンさんをご存知ですか?
コリン・ビーバンさんは一年間、地球への影響(インパクト)を限りなくゼロに近づけるというプロジェクトを遂行し、ブログでその一部始終を公開したことで有名になりました。9月上旬、彼の取り組みを紹介した同名の著書と映画が公開され、ますます注目を浴びています。
▼下の動画は映画のトレイラーです。
彼がなぜノー・インパクト・マンになったのか、そのプロジェクトの内容はどんなものだったのか、そしてプロジェクトを通して彼が得たものは何だったのか?
ノー・インパクト・プロジェクトとは?
そもそも歴史本を執筆する作家だった彼がなぜこのプロジェクトをやってみようと思ったのか?
それは地球温暖化のニュースを多く読んだ彼が、人間は自分たちの生存を可能にする地球の能力を害しておきながら、それと引き換えに手に入れたモノに埋もれてちっともハッピーではないことに気づいたからだそうです。
自身も問題に加担していることに気づいた彼は、まず自らがライフスタイルを変え、そのことを本に記録しようと考えたそうです。このことからコリンさんはノー・インパクト・プロジェクトをライフスタイルの実験と呼びます。
果たしてノー・インパクトなライフスタイルは可能なのか?浪費しなくても人生を楽しめるのか?これを本人自らが検証したわけです。
この実験に、否応なく巻き込まれた妻のミシェルさんと2歳(当時)の娘イザベラさん。買い物好きでコーヒーが大好きな典型的なアメリカの一般消費者のミシェルさんでもこのライフスタイルをエンジョイできるのか?
それもこの実験は決して生半可なものではありません。コリンさんの定義する「浪費」にはナント再生紙で作られたトイレットペーパーも含まれてるんですから!
以下にビーバン一家が行ったことを少し抜粋してまとめてみました。
Step 1. ゴミを出さない
ビーバン一家の「持続可能な消費」の基準は以下の通り。
・新しいモノを買わない
・中古品を借り、買う(下着・靴下除く)
・下着と靴下はオーガニックなものを買う
・映画などの大衆娯楽は一切なし
・使い捨て商品(化粧品、スキンケア商品、石けん、シャンプー、洗剤等)の代用品を考える
・トイレットペーパーを使わない(再生紙も不可!)
生活に必要なものはほとんど揃っている中、エコ商品を新たに買うのではなく、新たにモノを買わない(=消費そのものを減らす)ようにしたそうです。地球上の資源が限られている中、特にモノがあふれている先進諸国では消費そのものを減らす事の方が大事なのではないかという考えに基づいています。
Step 2. 移動はすべて歩きか自転車
・移動はすべて歩きか自転車
・飛行機、地下鉄、タクシーには乗らない
・エレベーターを使わない
・休暇中に実家に帰省する回数を減らした
Step 3. 環境に負荷をかけない食品選び
・肉と魚を食べない
・250マイル以内で作られた旬の食べものしか食べない
・冷蔵庫を使わなくなってからは、食べものが持たないので週3回、ファーマーズマーケットに通った
Step 4. 電気を消した日
・冷蔵庫の代わりにポット・イン・ポット冷却システムを使用
⇒うまくいかず断念。牛乳や野菜がダメになってしまったので、牛乳は保管できる脱脂粉乳タイプのものにし、野菜は茎を水につけて保存することで長持ちさせる工夫をした。
・非営利団体Solar Oneの携帯型ソーラーパネルを屋根に設置し、一家の住む部屋に電力を供給した。これを用いることで、パソコンとその周辺機器、LEDライトを点灯させるだけの電気を得ることができた
⇒光量が減る冬や雨の日は電気が使えず不便だったが、仕事を日中に終わらせ、夜は家族の時間に。
・電気がなくなったらキャンドルを灯した
Step 5. インパクトをゼロにできない部分はボランティアで埋め合わせ
完全にインパクトをゼロにできない部分を補うために、ハドソン川沿いのゴミ拾いや植林活動、チャリティーへの寄付をした。
プロジェクトの結果
プロジェクト開始から半年ほど経った頃、今までは食べものをテイクアウトしてたのが、キッチンで調理するようになったため、ダイニングルームが生活の中心になったそうです。それも食事の材料はすべてローカルのものだから健康にも良い。テレビもなくなったから、三人で過ごす時間が増え、さらに友人を招くようになったといいます。エアコンがなかったので、暑い日には娘さんを公園で連れて行って遊ばせ、父子の時間をたくさん持てたそうです。
「それなしでは生活できないと考えていたモノを手放した事で、新しい喜びを手に入れた」とコリンさん。
深い〜言葉の数々
本の中から印象に残った言葉を一部抜粋してみました。
表紙はリサイクルされたダンボールから、紙はバイオガスエネルギーを使って作られた
・欲について
My desire does not go away when the focus of the desire is achieved. It just focuses on something else.
欲しかったモノを手に入れても、その欲しいという感覚はなくならない。その欲望は新たな対象に向けられるだけ。
・変わり者と呼ばれて
I’d rather be the kind of nut who tries something than the kind of nut who, knowing what could happen in the world, doesn’t.
何が起こりうるかを知りながら何もしない変わり者でいるよりは、挑戦する変わり者でありたい
・モノ持ち=豊かさではない
The man who knows that enough is enough will always have enough
足るを知る者は富む(中国の思想家・老子の言葉を引用)
・便利さにつきまとう不自由さについて
We all think that the stuff and the energy and the accoutrements of modern life make us free, but until I took some time to do without them, I never got the chance to see the extent to which they also trapped me. Having electricity trapped me into the “freedom” of working at night, when I might have been playing with Isabella.
現代生活を便利にするモノは自由を与えてくれるが、そのモノなしで生活してみてはじめて、そのモノに自分が縛られてもいることに気づいた。電気があることによって、自分はイザベラと遊べたかもしれない夜に働く「自由」を手に入れた。
映画はまだ見ていないのでわかりませんが、本を読むとビーバンさん一家が取った一つ一つの行動の裏付けがわかります。プロジェクトはまず簡単なことから手をつけ、段々難しいことに挑戦したそうです。
上にも一部書きましたが、トライしてみたものの失敗に終わった事(ポット・イン・ポット冷却システム等)や途中あまりにも惨めな気持ちになってやめたこと(電気のない生活と、上では紹介してませんが足踏み洗濯)についても率直に書かれていて面白かったです。
コリンさんの文章が好きで、ブログを前からよくチェックしてましたが、今思うと消費について考えるようになったきっかけは彼のブログでした。本を読んでこれから自分がやってみたいことのアイデアというかヒントをたくさん得ました。
ノー・インパクト・マンについてさらに詳しく知りたい方は、下のリンク先へどうぞ!
No Impact Man :: コリンさんのブログ
No Impact Man :: ビーバン一家を追ったドキュメンタリー映画
No Impact Project :: 自分自身のノーインパクトプロジェクトを始めたい人はココにアクセス!




