今日紹介するのは、日本では未公開の作品で2006年にアメリカで劇場公開された映画「Earthlings(アースリングス)」。宣伝はほとんどされていないにも関わらず、口コミで広まった作品です。

earthling(アースリング)とは?
earthling: One who inhabits the earth.
〜地球に生息するもの
動物は私たちが生きるうえで欠かせない存在ですが、生命ある存在としてその尊厳は保たれているでしょうか。彼らは一番身近なペットとして、普段食べる食肉として、身にまとう衣服として、私たちを楽しませてくれる娯楽として、病気になったときには薬として、ありとあらゆるところで私たちの生活を支えています。しかし、彼らの犠牲が感謝されることはあまりありません。この映画はそんな彼らにスポットライトを当てています。
映画のナレーションをつとめるのは元俳優でベジタリアンのホアキン・フェニックス。音楽は同じくベジタリアンのアーティストMobyによるもの。
警告:動物の苦しむ様子などが映っているので、苦手な方は控えてください。
Earthlings (1:35:28)
英語字幕は映像右下の「CC」ボタンでon/off切り替え表示できます。日本語字幕つきの動画はこちらからご覧いただけます。
映画の5つのチャプターに分けられています。以下に各チャプターごとに少しまとめてみました。
Part 1. Pets ペット 〜見捨てられたペットたち
毎年推定2,500万匹の動物がホームレスになる。そのうち900万匹は病気や栄養失調、怪我のために路上で死に、残りの1,600万匹はシェルターに連れて行かれ、新たな引き取り手がなければ殺される。そして信じがたいことに、シェルターに入る動物の半数はそれ以上世話ができなくなった飼い主自らの手によって連れて来られる。シェルターでは一日に6万匹もの動物たちが安楽死させられる。しかし、すべての動物が楽に死ねるわけではない。シェルターの中には安楽死に使う薬剤が入手できず、死ぬまで長い時間がかかるガス室を利用する財政難の所もある。
Part 2. Food 食べ物 〜屠殺場の壁がガラス張りだったら
自分で動物を殺さなければならなかったら、多くの人がベジタリアンになるのでは?私たちは肉を買うとき、ただただ、その動物が苦しまずに殺されたことを願う。通常、牛の平均寿命は20年だが、乳牛の場合は過度の疲労のため4年くらいで死んでしまい、その肉はファストフード用の肉として処理される。劣悪な環境下でストレスにさらされ体にできものができ、共食いするブタたち。労働者によってひどい仕打ちを受ける家畜たち。屠殺場の壁がガラス張りで、中の様子が見れるとしたら、目を背けずにいられるだろうか?
〜急速に失われる漁場と魚の安全性
魚の肉といえども安全とはいえない。海は石油や排水で決してきれいとはいえない。フィエステリアと呼ばれる藻類(バイオハザードレベル3)が魚の病気の原因にもなっている。そしてフットボール場と同サイズの漁船によって、大量の魚が効率よく捕獲されるため、世界有数の漁場17ヶ所のうち13ヶ所では魚が激減している。日本ではイルカ漁が続けられ、その肉はクジラやフカヒレの肉と偽装されて売られている。
Part 3. Clothing 衣服 〜ファッションの犠牲になる動物たち
〜皮革はどこからやってくる?
衣服に使われる皮革の多くはインドから輸入される。インドでは牛は神聖な生きものと崇められているが、実は皮革は主要輸出品の一つである。インドの州の多くは牛の屠殺が禁止しているので、皮になる牛は狭い車で長時間かけて屠殺が認められている州へ運ばれる。さらに皮の腐敗を防ぐためになめし加工が施されるが、それに使われるクロムは人体に有害とされている。牛は皮になるためだけに殺され、その皮革は世界中に輸出される。
〜毛皮産業の犠牲になる野生動物たち
世界では一年当たり1億匹以上、アメリカ国内だけで2500万匹の野生動物がペルト(生皮)になるため殺されている。猟や罠で捕獲された野生動物たちはファー・ファーム内の檻に入れられ、治療もされず、ろくに食糧も与えられず、ゆっくりと死んでゆく。ファー・ファームは無法地帯なので、経営者がお金のかからない手段 — 一酸化炭素中毒、ストリキニーネ、窒息、肛門からの感電死(肛門から電極が差し込み、もう一方の電極を口で噛ませる方法)— で野生動物を殺す。殺されてから皮を剥がされるのならまだましなのかもしれない。死ぬと毛皮がはがしにくくなるという理由で、毛皮を生きたままはがされることも多いのだから。皮をはがれたものは、ファー・ファームにいる他の動物の餌となる。
Part 4. Entertainment エンターテインメント 〜娯楽産業と動物
ロデオや闘牛、競馬などのスポーツでも様々な動物が使われる。ロデオで牛が後ろ足を蹴り上げるのは横腹や生殖器の上に巻かれるフランク・ストラップを嫌がるため。数日前からはやしたてたり、電気の出る突き棒で刺激を与えられたりすることで強いストレスを与え、過度に牛を興奮させる。アメリカでは今でもハンティングに興じるハンターたちが多くいる。ハンティングによって犠牲になる野生動物の数は毎年2億頭にものぼると言われる。
〜サーカスを飛び出したゾウ
サーカスに登場する動物は狭い檻で飼われ、ご褒美をもらえるからではなく、調教師による懲らしめにおびえて、様々な訓練に耐える。1994年、ハワイで行われていたサーカスでは演技の最中にゾウが、観衆の目の前で調教師を殺し、会場を飛び出す事件が起きた。その後ゾウは、町中を30分以上走りまわった挙げ句、警察によって86発もの銃弾を受けて殺された。
※様々な非難によって、現在では動物を使ったサーカスを禁止する国(スウェーデン、オーストリア、コスタリカ、インド、フィンランド、シンガポール、スイス、デンマーク)も現れ、動物の使用を自粛するサーカス団も増えている。
Part 5. Science 科学 〜動物実験は不要?
動物実験が行われるのは、人間の病気の治療法を見つけるためだと言われる。そして、動物で得られる実験結果が、そのまま人間にも適用できるという考えのもと、実験動物には病気の状態が故意に作り出される。動物は人間とは違った反応を見せるので、安全性を確認するため、動物に対して行われるのと同じ実験が結局人間でも行われる。動物への実験は誤った結論を導き出し、医学の進歩を遅らせている。故意に引き起こされた病状と自然にかかった病気との間には大きな違いがある。
動物実験では、動物に毒物を与えたり、電気ショックを与えたり、無麻酔で手術をしたり、外傷を負わせたりする。軍事目的の研究の場合は、放射能を当てられたり、爆弾を試したりもする。映像では、同じヒヒに繰り返し、衝撃が与えられている。自動車の衝突事故を再現し、その脳へのダメージを研究するためである。20年前、動物実験で殺される動物の数は世界で一日当たり40万匹だった。その数は年間5%の割合で増加し、現在では1分間に1万9千匹、一年にして100億匹と推定されている。
※お断り
上記のまとめは映像をもとに書いた内容です。映像にあるようなことばかりではないこと、また良心的な方法で動物を扱っているところも多くあり、様々な批判により、改善・配慮された点も多々あることをご了承ください。
個人的にびっくりしたのは、皮として利用される牛が、牛を神聖な生き物として崇拝するインドで育てられ、皮のためだけに殺されるということ。すべての皮がインド由来のものではないでしょうが、自分としては肉になるため殺される牛の皮としても利用されるのかと思っていたので。
何よりも尊いはずの命がそまつにされていることの象徴といえるかもしれません。それは動物に対してだけでなく、他者あるいは自分に対しても言えると思います。生命を軽視する世界では戦争はなくならない、そう思います。
As long as there are slaughterhouses, there will be battlefields.
屠殺場がなくならない限り、戦場もなくならない(レオ・トルストイ)If slaughterhouses had glass walls, everyone would be a vegetarian.
屠殺場の壁がガラス張りだったらみんなベジタリアンになるだろう(ポール・マッカートニー)Wild animals are not a renewable resource, having value only relative to human interests.
野生動物は再生可能な資源ではないし、人間のためだけに存在するわけではない。
写真は上から順に、.klash、ewanr、mksfoto、RichieC、jepoirrierによるものです。


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{ 12 comments… read them below or add one }
Earthlings、以前日本語字幕があるサイトでみて衝撃でした。
今は字幕ありの映像がなくなってしまい、探していたところこちらに
その内容が書かれていたので是非ブログに転載させてください。
http://blogs.yahoo.co.jp/dede925jp/58421662.html
もし不都合がありましたらご連絡くださいm(__)m
はじめまして!
Earthlingsの日本語字幕、見てみたかったです。
今回は転載、そしてご紹介してくださり、ありがとうございました!
はじめまして。私も北CAに暮らしています。
“The Cove”のホシヨス監督が”人生で一番パワフルな映画”とインタビューで答えていたので興味をひかれ、今晩見終わって衝撃を受けています。私も牛皮が殆どインドから来ていると知り驚きました。
こちらですばらしくまとめられているので私のブログにもリンクさせていただけますか?
>Akemiさん
はじめまして。同じ北calからのコメント嬉しいです!
くわしく知りませんでしたが、The Coveは日本のイルカ漁についてのドキュメンタリー映画なんですね。
先日オスカー賞も受賞したようですし要チェックですね!私もこれから観ようと思います〜。
リンク、転載についてはご自由にどうぞ〜。
Ianaさん
ありがとうございます!
The Coveもいろいろな意味で考えさせられる作品でした。日本では初夏の公開を巡ってやっとメディアが取り上げ始め、まだ観ていない人たちの間でも波紋を呼んでいるようです。
これからも”北CAL発 エコ便り”楽しみにしています!
Lanaさん、こんにちは(いま5月20日pm2:10頃です)
前に映画で見た「いのちの食べ方」を見たときは、
動物や魚を食べるのが、苦痛だったのに・・・。
いつしか、食べても当たり前になっている自分がいます。
インドにはジャイナ教という宗教の僧侶は、肉はおろか、
植物も根の部分は食べず、葉の部分だけを食べているという。
僕たちにそんな生活ができるのか?
って考えてしまいます。どう考えたって、できそうにない。
出来そうにないからこそ、
「いのちをいただきます」って、謙虚さをもたなければって思います。
PS)
Lanaさん、久しぶりです。
また、更新をお願いします。無理する必要はないですが、
北CALからのエコ便り、待っている人は多いのですから、ね。
xtc4241さん、お久しぶりです!
いつも温かいコメントありがとうございます。
「いのちの食べ方」という映画、私はまだ見てないのですが、こちらでは「Our Daily Bread」というタイトルでDVDが出ているようなので、今度チェックしてみますね。
実はアースリングスを観て、いろいろな本を読んだ結果、ここ1年くらい肉と魚を食べてません。昔はファストフードが大好きだったのですが、今はハンバーガーを見たいとも思わなくなりました。このことも含め、書きたいと思うことは多々あるのですが、ブログから遠のいていました。近く、また更新するので今後もよろしくお願いします〜!
皆様、
アースリングスの字幕版は途切れていますよね?
英語版(オリジナル映画版)の時間の長さは1時間半以上なはずですが、
以下の日本語字幕版は54分37秒だけになっています。
http://vimeo.com/11544552
フルの日本語字幕版は存在していますでしょうか?
Ronさん、
ご指摘ありがとうございます!
vimeoへアップロードしたばかりの頃は全編を見ることができたはずでしたが、今は途中までしか見ることができませんね。まったく気づきませんでした。アップロードをやり直してみますね。
ところでskashimaさんによりますと、こちらのページで監督のコメント入りのものが見れるそうです。良かったらご覧ください。
動画を本日アップロードし直しました。今回は1時間35分全部見れますので、よろしかったらご覧ください。
Lanaさん、
今確認しました。完璧です。
以下のリンクになりますね。
http://vimeo.com/12884758
大変感謝しています。
色々ありがとうございました。
動画を確認していただきありがとうございます。
またご指摘いただいた事、大変感謝しております。