今年の7月、南米エクアドル北東部のクヤベノ自然保護区の3泊4日のエコツアーに参加しました。
●クヤベノ自然保護区とは?
左の地図上で黄色の線で囲まれているのはアマゾン熱帯雨林が広がるエリアです。クヤベノ自然保護区はオレンジ色で囲んだエリアに位置する。
クヤベノ自然保護区はアマゾン川に注ぐ支流やラグーン(潟湖)とその周囲に広がる約60万ヘクタールにも及ぶ豊かな熱帯雨林からなる。私が今回この保護区内で宿泊したロッジは、首都のキトからラゴ・アグリオという町までバスで8時間、その町から保護区の入り口までバスで3時間、そこからさらにカヌーで3時間川を下った所にある。
たどり着くまでが長く感じるが、移りゆく自然を眺めるのは楽しいし、何もかもが新鮮。
左のような発着場から、シオーナ族の現地人が運転するモーター付きカヌーに乗り込む。「これから一降りするから」とポンチョを渡される。そうしてくねくねした茶色の川を蛇行しはじめると、すぐに雨がぽつりぽつりと降ってきた。それもポンチョをかぶった頃には激しいスコールに変わっていた。両脇を熱帯雨林に挟まれ、スコールに打たれる中、ロッジを目指す。生き物の存在は雨でかき消され、生ぬるい雨が体当たりしてくる。早速ジャングルの洗礼を受けた。
川はクヤベノ川と呼ばれ、アマゾン川に注ぐ支流の一つである。川を進むと、ラグナ・グランデというラグーン(潟湖)につながる。その頃には雨も降り止み、熱帯雨林の上を水蒸気がやさしく包んでいた。
ラグーンの水の色は黒く透き通っている。ブラックウォーター(黒い水)と呼ばれるこの川の色は、堆積した落葉から染み出すタンニン酸が原因だという。
ラグーンには左のようなマメ科の木が点在していて、根元は完全に水中に浸かっている。異様な光景だが、雨がよく降るこの時期は、低地に生える木々はこのように浸水してしまうのだ。
川のほとりにはツメバケイという大きな鳥が2〜3羽にぎやかに群れている。彼らはStinky Bird(臭い鳥)というひどいあだ名で呼ばれている。その理由は、サトイモ科の葉っぱしか食べず、独自の消化方法のため不快な臭いを放つからだそうだ。ちなみに肉もまずいのだとか。ヒナは最古の鳥・始祖鳥を思わせる独特な姿で有名だが、ヒナでなくても一度見たら忘れられない。
●クヤベノロッジ
ようやくたどり着いたロッジ。入り口の看板は川に浸かる木の枝にかかっている。何とも風情がある(笑)
カヌーを降りて階段を上がる。写真のような小屋が10数、石畳で挟まれて建っている。
天然ヤシの葉から作られた茅葺き屋根。すべての電力は屋根の上や通路沿いに設置されたソーラーパネルでまかなわれている。暗くなればロウソクを灯すだけ。周囲への影響が最小限になるよう細かな注意が払われている。
このロッジでは設立以来、シオーナ族の原住民と協力してジャングルトレッキングやナイトウォーク、土着住民訪問を含めたエコツアーを提供している。
ロッジの敷地内には頻繁にタマリンの一種(Black-mantled Tamarin)やワニの一種のカイマンのベイビーが遊びにきていた。スタッフによると彼らは常連さんとのこと。
望遠鏡をのぞいて撮影したカイマンの姿。夜はカイマンがたくさんいる穴場に連れて行ってもらったが、その時見たカイマンは比べ物にならないくらい大きかった。
●2日目
翌朝小屋の窓(窓とはいえ、ガラスなどはついていない)から外をのぞくと、左のチュウハシが近くの木の枝にとまっていた!全体に黒っぽい体色をしていて、くちばしが長い。この地域は鳥の種類が特に豊富で400種以上いるそうだ。
この日は浸水することのないテラフィルメと呼ばれるジャングルへトレッキングに出かけ、その帰りにピラニア釣りを楽しんだ。
ジャングル・トレッキングに向かう途中でカヌーから川沿いを眺めていると、様々な鳥を観察できた。写真のようなキツツキやサギ、世界最大のヤマセミ。鮮やかな青と黄色をしたルリコンゴウインコの群れが独特の甲高い鳴き声で、長い尾を引きずらせて頭上を飛んでいく。どの鳥も南米にしか生息しないものばかり。
ガイドのサレムが、植物の薬用効果などをわかりやすく教えてくれる。
上の写真のような小さなカエルや鮮やかな毛色のいも虫やヤスデなどの小さな生き物がたくさん!
アマゾン川といえばピラニア。ピラニア釣りに初挑戦しちゃいました!竿で水面をぽんぽん叩くとエサに食い付いてくるが、素早く引き上げないと簡単に逃げてしまう。2匹しか釣れなかったが、どちらもすぐに川へ戻した。
ロッジに戻る途中で、ナマケモノが!遠目には鳥の巣にしか見えないが、双眼鏡をのぞくとたしかに森から突き出た木の枝にしっかりしがみついている。
このナマケモノを見れたのも、ガイド同士の連携のおかげ。同じロッジの他のガイドとカヌーですれ違った時に、「今○○にナマケモノがいるぞ」という情報があったから見ることができたのだ。
エコツアーで熱帯雨林などの自然を訪れる旅行者のほとんどが野生動物を見ることを一番の楽しみとしていると言われている。その例にもれない私たち一行にとっても、少しでも多くの動物を見せて楽しませてくれようとするガイドたちのこうした配慮は嬉しい。
●3日目
エコツアー最終日。土着民族のコミュニティのあるプエルトボリバルという村を訪ねた。
ここでは、左上の写真の染料に使われる実や、左下のカカオの実を見せてくれた。カカオの実は、木の幹から直接生えていて不思議だった。この種子が一般にカカオ豆と呼ばれ、チョコレートの原料になっている。カカオ豆を包むパルプと呼ばれる部分が甘くておいしい。この地域には1万2000種もの植物種が確認されているというから驚きだ。
その後、現地の少女がマチェーテを器用に使って、ユカと呼ばれるイモを切り分けて、その厚い皮をむいて見せてくれた。ユカはキャッサバとも呼ばれ、日本ではタピオカの原料としてなじみ深い。小屋に戻ると、ユカをアルミのおろし器ですりおろし、ふるいにかけて、編んだ縄の間にはさみ、余分な汁を搾り取って、鉄板の上でパンを慣れた手つきで焼いてくれた。できあがったものをみんなでハチミツをかけて食べた。これがとてもおいしい!
ロッジに戻る途中も、ガイドは動物がいないか常に周囲に眼を光らせている。彼らにかかると、木の幹に擬態するコウモリや左の写真のように茂みに隠れているアナコンダの赤ちゃんも難なく見つかってしまう。
ある時は「ホエザルが木の洞穴から頭を突き出している」と言われ、カヌーから身を乗り出す勢いで探してみたが、ホエザルは洞穴に頭を引っ込めたり、突き出したりしているからか、最後まで姿をみることはできなかった。
カヌーの横を青色の翅をしたモルフォ蝶がひらひらと舞ってゆく。淡水性のイルカ、アマゾンカワイルカが恥ずかしそうに顔をのぞかせる。ここではこれが当たり前。そんな当たり前がいつまでも続きますように。。。
たったの数日間だったが、アマゾン源流の大自然を思う存分、体感することができた。この地で人間と自然の共生がいつまでも続くことを願う。



















